新卒で手術室看護師ってどうだった?

点滴画像

こんにちは。

私は新卒で約5年、大病院の手術室に勤めていました。

新卒看護師さんたちは、かなりの確率で病棟に配属されると思います。

病棟で3年勤めて一人前、そのあとはどこでも働けるようになるとは昔から言われていますよね。

そんな中、私は自ら希望して新卒で手術室に採用され、4年半働き上げました。

手術室って、なんかもう異空間ですよね。

当時は希望を出すかとても迷っていて、いろんな情報をインターネットで検索していました。

この記事は部署希望で迷っている看護学生さんや新看護師さん、また希望してもないのに突然手術室に配属になって途方に暮れている新看護師さんに向けて書きました。

当時、私が知りたかった情報をたっぷり書いていきたいと思います。

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新卒で手術室看護師、実際どうだった?

結論:とにかく大変だった! けど何とかなった(かな?)

包帯を巻く画像

見出しの通り、とにかく大変でした。

でも、最終的には何とかなって、5年近く働きました

私の周りの新卒手術室看護師たちも、みんななんだかんだで一人前になっていきました。

大変だけど、私は手術室看護がとても好きです

新卒看護師の大変ポイントは語りつくせないほどあるんですが、ここでは3つに絞って紹介します。

二重で分からない

頭を抱える男性の画像

新卒看護師って、右も左も分からない状態。

医療のベース(基礎常識)となるようなことが全くゼロの状態からスタートします。

看護学校でいろいろ習うと思いますよね?

でも、学校の勉強だけでは医療界・病院界に多数存在する「当たり前」が分かりません。

更に、手術室看護師の仕事って、看護学校ではほぼ全くと言っていいほど習わないもの。

その「当たり前」が分からない状態で手術室に行くので、二重で訳が分からないんですよね。

手術室って、病棟経験がたっぷりあるベテラン看護師さんでも初めは大混乱な場所。そこに手術室に新卒で放り込まれるわけですから、新人さんが混乱しないわけがないんです。

でも、人間ってのはすごいもので、そんな環境でもいつかは慣れていく訳です

ひたすら働いていると、いつの間にか少しずつできることが増えてきて、気がついたらみんな立派に成長していきます。

私も1年目は本気で死ぬかと思いましたが、気づいたら後輩もできて、リーダーもやって、どんな手術でも対応できるようになってました。

(その後、4年半たって休職することになるのですが、その経緯は別記事で・・・)

覚えることが多すぎる

また、手術室看護師は、覚えることが桁違いに多いです。

全部の科の手術手順や、大量の手術器具、大量にあるME機器の操作方法、先生の名前と好きな器械(笑)

1年経ってもまだ未履修の手術があるなんてのも珍しくないんじゃないでしょうか。

いつまでたっても新人だあ・・・って思っていた記憶があります。

この新人期間が長いってのも、大変なポイントですね。毎日予習復習しないとオペについていけないですからね・・・

ノートとペン画像

スピード感とチーム医療

手術室は、どんなにゆったりした手術でもやはりスピード感があります。

また、手術全体の流れというのがあるので、その流れの中で作業をしなければいけません。

そして、自分のペースでやっていては初めはとてもじゃないけどその流れに追いつけず、手術室内の医師や他の看護師といったチームメンバー全員を待たせることになります。

病棟では、まず少ない人数を任されたり、ある程度自分のペースで動けたりするかもしれませんが、手術室だとそうはいかないんですね。

そして、待ってくれるメンバーならまだいいんですが、外科医なんかはせっかちな人が多いもの。

ほったらかされてどんどん進んでいきパニック・・・もしくは「遅い!」って怒鳴られちゃうなんてこともあります。

この独特の感じは新卒スタッフだけでなく、むしろ今まで自分のペースで1日のスケジュールを組んで働いてきたベテランナース勢の方が慣れるのに苦労したりします

約5年働いて分かった新卒手術室看護師のデメリット

デメリットから先に話すんかい! って感じですが、まあデメリットが少なくないのは事実。

メリットもこの後書くのでぜひ最後まで読んでくださいね!

看護技術が身につかない

体温計と薬の画像

手術室にいると、気管挿管介助と膀胱留置カテーテル挿入だけやたらと上手くなります(笑)

しかし、他の看護技術を身に着ける機会がありません。

私は看護学生の頃やって以来、全身清拭・陰部洗浄・洗髪・オムツ交換なんかをやったことがありません…

あと、胃ろうやCVカテーテルの処置、浣腸なんかもできません。

こんな5年目看護師ってどうなのだろう…と思うこともあります。

ちなみに私の病院の手術室では救急外来応援業務があるので、そこで点滴や採血や十二誘導心電図なんかは覚えました。

でも、病棟看護師によると・・・

病棟出身の手術室看護師さんに聞くと、清拭やオムツ交換なんてすぐできるようになるから大丈夫! オペ室の業務の方がよっぽど難しいよ、とのこと。

また、同じ病棟でも部署が違えば全然やらない看護技術もあるので、全ての看護技術が習得できていなくても問題ないとのことでした。

異動・転職した先々で覚えればいいんだよ、と言っていました。ご参考までに。

転職時の潰しがきかない!

レントゲンサンプル画像

同じような手術室や、美容外科なんかへ転職する場合は即戦力として非常に重宝されるようです。

ただ、看護技術が習得できていないということは、即戦力を求めるクリニックなんかへの就職がしにくいということ。

私は転職活動は現在していませんが、クリニックや老人ホームなんかに行きたいけど自信ないなあ…と思っています。

私の病院は救急外来で点滴や採血の経験を積むのでまだ良い方かと思っているのですが、本当に手術室一本で来た方だとかなり大変で、結局手術室に戻って来るという話もたまに聞きます。

同じように、病院内での異動も結構大変みたいです。

でも、異動・転職した人たちによると・・・

病棟に異動していった先輩たちに聞くと、まあ何とかなるよということでした。周りの人に聞きながら、試行錯誤してやっているみたいです。

あと、やはり冒頭でもかいた医療のベース(基礎常識)を手術室で獲得した状態で異動すると、すんなり業務に慣れやすそうです。

3-4年くらい手術室での経験を積むとだいぶ周りの見え方が変わってきます。こちらの記事も参照してください。病棟でも手術室でも、3-4年で一人前というのは似ているのかもしれませんね。

患者さんと話す機会がない

看護師画像

手術室で患者さんと話す機会というのは、限られてきます。

  • 全身麻酔がかかる前
  • 脊椎麻酔(下半身麻酔)や局所麻酔で鎮静がかかっていない患者さん
  • 術前訪問・術後訪問のとき
  • 外来手術で外来担当だった場合(病院によります)

ざっとこんなところでしょうか。

会話が大好きで、患者さんのお世話をしながら話すことにやりがいを感じている既卒の看護師さんなんかは、結構辛いみたいです。

でも、内向型HSP(繊細さん)の私にとっては・・・

私は看護師を志しながらも人と話すことがあまり得意ではありませんでした。

なので、私にとってはメリットでした

少ない情報や少しの表情などから、数少ない声かけを丁寧に行うことを意識していました。それで十分だと私は思います。

給料が安い

小銭画像

土日勤務や夜勤が少ない分、給料は少なくなります。

休日手当、夜勤手当が出ないですからね。

でも、これは裏を返せば・・・

土日勤務や夜勤が少ないということは、カレンダー通りに近い勤務形態で生活リズムが狂いにくいというメリットでもあります(メリットの項目で紹介しています)

約5年働いて分かった新卒手術室看護師のメリット

緊急時にめっちゃ強い

救急車画像

手術室看護師は、緊急時に強いです。

病院にある科や手術内容にもよりますが、手術には基本的に予想外の出血はつきもの。

手術室看護師ならだいたいみんな大出血を経験することになります。

病院によっては、外傷や胎盤早期剥離などの超緊急手術で患者さんが手術室になだれ込んでくるような場面にも出くわすでしょう。

また、手術中は全身状態が変化しやすいため、一分一秒が惜しい時がありますので、緊急時に何をすべきか分かるようになってきます。

そんな状況に慣れているため、緊急時に動けるスピードが全然違うんですよね。

私も緊急の状況が決して得意ではないのですが、それでも嫌でも洗練されていきます。

コードブルー担当(心肺蘇生患者発生時の蘇生メンバー)もするのですが、駆け付けて処置にあたろうとすると病棟看護師さんからありがたがられます(笑)

この能力は、どこの医療現場にいっても必要なものだと思います。

余談:気管挿管介助なら何でも来い

手術室では、いろんな気管挿管が行われています。

普通の喉頭鏡とブレードでの経口挿管だけでなく、ビデオ喉頭鏡、経鼻挿管、経口レイ、分離肺換気、意識下ファイバー挿管などなど何でもできるようになっちゃいます。

心肺蘇生時に挿管は必須! 超貴重なスキルです

ただし、普通に経口挿管が出来れば十分、その他のスキルが手術室の他で生きることは恐らくないですが・・・(笑)

解剖に強くなる(ただしちゃんと勉強していれば)

手術に付くわけですから、解剖にも強くなります。

人体の内部を実際に見て、器械出しをしますからね。

病棟に行ったときに役立つよといつもベテランナースさんたちから言われています。

ただし、これには落とし穴があって、勉強を強く課されない病院では手術の手順さえ覚えてしまえば解剖を知らなくても何となく器械出しができてしまうことがあります。

でも、解剖に強いナースは器械出しが上手いし、医師からの信頼も厚いし、何より手術が楽しくなります

知識はつけておいて損はないと思います。

新卒はかなりしっかり指導してもらえる

親子猫画像

これは、手術室の新卒ならではのことなのですが、また病院にもよりますが、既卒者よりかなりしっかり指導してもらえます。

ダブルといって、先輩看護師がべったりついて指導してくれる期間があり、その後も近くで先輩が目を光らせています。

手術室看護師は、1つの手術に「外回り看護師」と「器械出し看護師」の2人がほぼ必ず付くので、そのペアの先輩がフォローしてくれます。

新卒手術室看護師がなーんにも分からない状態で配属されているというのはみんな分かっているし、手術室内で危ないことをされたら本当に大変なので(笑)、先輩たちはかなりしっかり見ています

外科医や麻酔科医も必ず近くにいるので、何かあってもすぐに聞くことができるし、気づいてももらえます。

病棟で新人看護師さんがたまにやる、「ミスしたことに気づけず、気づいた時にはとんでもないことになっている」事態が起こりにくいわけですね。

ずーっと監視の目があるのは最初はキツイですが、危ないことが起きるよりかはずっと安心感があります。

ちなみに既卒で手術室に異動してきた看護師さんたちは、できる前提なので結構放っておかれてます。自分で何とかしろという感じですかね・・・

でも、やはり既卒看護師さんは安定感が違います。基礎力がありますからね。

勤務形態がカレンダー通りに近く生活習慣が狂いにくい

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手術室看護師の勤務形態は病院によって様々ですが、多くの場合病棟より夜間働くことが少なく土日休みも多いです。

予定手術は基本月から金に組まれるためです。

彼氏や旦那さん、友達とも休みを合わせやすかったりもします。

しかもたまに平日休みもあることが多いので、銀行やお買い物は平日に行くことができるという、二重でおいしいです(笑)

ただ、デメリットでも述べていますが夜勤がない分給料は低いです(笑)

まとめ:新卒で手術室看護師になるのってどうなの?

グリーンポット

沢山書いてきましたが、私の意見としては、「デメリットを理解していれば大丈夫」です。

病棟より手術室に行きたいと思っているのであれば、わざわざ3年病棟経験を積んでから行かなくても、新卒で突っ込んでいけばいいと思います。

十分やっていけます。

また、希望じゃないのに手術室に配属になっちゃった・・・って人も、大丈夫です

意外とそういう人の方が、最初は絶望していますがそのうち手術室に馴染んで、手術室働きやすいって言ってたりします。

このパターンは私の周りには本当に多くて、初めは異動したいって言っていますが、たいていみんな数年たつと異動したくないって言います(笑)

逆に希望で手術室に来た人は異動したいっていいます(笑)(あくまで個人の感想ですが)。

異世界の手術室、でも何とかなる! 希望した人も突然手術室に配属になっちゃった人も、どうか一山乗り越えて手術看護を楽しんでほしいなと思います。

この記事はあくまで私の経験ですので、病院やその人によっていろいろ違いはあると思いますが、この記事が少しでも参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

最近突然ドラマにハマり出したアラサーです。
ふんわりとしたドラマレビューをしています。

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